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◆概要 |
ここで紹介するのは、1993年4月に国道326号を全線走ったときの走行記である。この当時、宇目町(現・佐伯市)中心部から北側の三国峠越え区間では、既に三国トンネルが開通するなど整備がほぼ終了していたが、南側の大分・宮崎県境にかけては狭路の連続で、大々的な改良工事が進行中であった。 ちなみに、道路時刻表によると、1990年当時、国道326号経由による宮崎県北川町(現・延岡市、国道10号交点)〜大分県犬飼町(現・豊後大野市)間の所要時間は1時間42分(距離:65.6km)であったが、現在は59分(距離:54.4km)と大幅に短縮されている。また、同区間の国道10号経由の所要時間は、1990年、現在ともに1時間27分(距離73.0km)となっており、国道326号の整備に伴い逆転されたことが分かる。 |
◆走行記 |
1993年4月17日、13:00すぎ、宮崎県延岡市内で、国道218号から国道10号に入った。一昨日、大分市内でレンタカーを借り、大分県、宮崎県内の国道を回ったドライブも今日が最終日である。あとは大分市を目指して北上するだけだが、国道10号をひたすら走るのも芸がないので、延岡市の北隣、北川町から国道10号よりも内陸側のルートである国道326号を経由することにした。 国道10号を北上すること30分弱で北川町の国道326号交点に差し掛かったが、手前の案内標識を見ると、何と国道326号方面には「工事中」としか書かれていない。一瞬、躊躇したが、道路地図では326号はちゃんとつながっているし、「通行止」という案内があるわけでもないので、予定通り326号に突入した。 いざ、国道326号に入ってみると、予想をはるかに超える快走路である。しかも道はガラガラで、交通量と道路状況が不釣合いとしか言いようがない。有り難く快走するうち、「もしかしたら国道326号は、国道10号のバイパスとして位置付けられているのではないか」ということに気付いた。地図を見ると、距離的には国道326号の方が国道10号よりも短く、また、国道10号には宗太郎越えという難所があることからも、十分に考えられる話である。 しかし、「国道10号バイパス」に値する快走路は長くは続かなかった。北川町八戸付近で2車線快走路はぷっつり途絶え、1〜1.5車線の狭路となってしまったのである。そこから先は、現在改良工事が進行中で、宮崎・大分県境付近まで工事箇所の連続であった(写真1)。中でも下赤付近では、工事による時間通行止箇所が出現。何と通行止時間は毎時0分〜45分という「狭き門」だったが、幸いなことに到着したときの時刻は13:40で、僅か5分待ちでクリアーし事なきを得たのだった。 |
1 改良工事の状況 | 2 現道から見下ろした新道建設現場 |
県境を越え大分県に入ると、道はさらに狭くなり、1車線区間が多くなった。右側の谷は結構眺めがいいのだが、ゆっくり眺められる状況ではない。 そして、北川ダム付近で、眼下に大々的な新道建設現場が出現した(写真2)。新道が描くカーブは非常に緩やかで、景色の良さとも相まって、開通の暁にはかなりの快走路になりそうである。 さらにその先には、ダム湖上に架かる立派な斜張橋も姿を現した(写真3)。見た限り、橋自体はほぼ完成しており、舗装さえすればすぐにでも通行できそうである。一方の現道はと言えば、新道の斜張橋を尻目に小刻みなカーブを繰り返すばかりで、そのギャップたるや相当なものである(写真4)。 |
3 現道から見下ろした斜張橋 | 4 小刻みなカーブを繰り返す現道 右遠方に斜張橋の一部が見える。 |
現道は次第に新道建設現場から遠ざかり、ダム湖に注ぐ中岳川を越える所で時間橋が現れた(写真5)。スカイブルーに塗られた橋は、規模では先ほどの斜張橋とは比較にならないが、狭路の現道にあってはシンボル的な存在に感じる。橋の手前には小さいながら案内標識があり、「国道326号」の文字も。また、橋を越えた所には珍しく国道標識も立っていたが、こちらはかなり錆びが浮いていて、現役にもかかわらず、一足先に「旧道に取り残された標識」という雰囲気を醸し出していた(写真6)。 |
5 時間橋 (写真拡大) | 6 時間橋を越えた所に立っていた古い国道標識 (写真拡大) |
以降、路肩を示す白線もカーブミラーもほとんどないといった状態の1車線狭路が宇目町田原まで続いた。中には周りの田園風景にすっかり溶け込んで、正に「農道」という所も。この区間は、北川町八戸付近から続いてきた狭路の中でも、現在の国道326号のお粗末さを象徴するような区間であった。 |
◆付記 |
2003年4月27日に国道326号を再訪し、ここに掲載している写真の一部について定点撮影を行いました。その写真を「国道定点撮影」の国道326号にまとめましたので、どうぞご覧下さい。 |
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