国道273号 三国峠
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◆概要
三国峠から上士幌町方面の展望
  

 
国道273号は、北海道帯広市をを起点とし、士幌町、上川町などを経て紋別市に至る国道である。その道程の中で、上士幌・上川町界の三国峠は道内の国道では最高所の峠であり、比較的遅くまでダートが残っていた区間である。その自然環境の厳しさ故、ダート時代は冬期閉鎖の措置がとられていたが、1994年10月に舗装・改良化が完了し通年通行が可能となった。

ここでは、ダート時代の1991年8月に原付バイクで走行したときの様子を紹介する。

 

◆走行記

 
1991年8月6日、原付による北海道ツーリングの4日目、然別湖を観光した後、幌鹿峠を越え、14:30頃、上士幌町糠平で国道273号に入った。昨日までは天候不順で曇り空が続き寒いくらいだったが、然別湖付近からようやく待望の青空が広がり、気分良く273号を進む。

この糠平から北側、十勝三股までの国道273号は、今から5年前の1986年に、当時の国鉄士幌線の列車代行バスに揺られた懐かしい区間である。当時の記憶によれば、途中の幌加付近からダートが始まり、貴重なダート上のバス乗車を体験したが、現在はすっかり舗装化され、気持ちの良いストレート路が続いている。

その列車代行バスの終点だった十勝三股には15:10に到着。バス停そばの待合室は5年前のままで、近くにはバス本体も停車していた。国鉄士幌線は、JR移行を目前にした1987年3月に廃止されたが、どうやら鉄道廃止後も旧列車代行バスはしっかりと存続しているようだ。

さて、ここに来ればぜひ確かめたいものがある。旧士幌線の十勝三股駅跡である。国道から少し入った所には、5年前と同様、駅舎が健在であった(写真1)。糠平−十勝三股間が代行バス化されたのは1978年であるから、駅舎閉鎖後13年が経っていることになる。さすがに老朽化は否めないが、現在はほとんど民家のないこの地にかつて鉄道が通じていたことを示す証として、今後も残ってほしいものである。
 

1 旧十勝三股駅舎 2 白樺林の中に続くストレート

 
十勝三股を出発し、再び国道273号を三国峠に向けて進む。青空の下、爽やかな白樺林の中にストレート路が続き、ツーリング気分はさらに高まる(写真2)。これだけ気分が良いと、原付の鈍足さもさほど気にならない。

しかし、その快適な舗装路は、十勝三股から約10分走った辺りで終結する。そう、ダートの出現である。そもそも今回はこのダート走行が目的の1つであり、本来は喜ぶべき状況なのだが、今までが余りにも快適だっただけに少し複雑な気分である。

さすがに北海道観光の一翼を担う道路と言うべきか、ダート区間も2車線幅が確保され、路面も大部分がフラットである(写真3)。また、ダートの走破性という意味でも、取り回しが楽な原付はその力を如何なく発揮してくれている。ただ、難点は高速で走る車が巻き上げる砂ぼこりである。こればかりは、通行車が来ないことを祈るしかない。
 

3 木製電柱も立つダート区間 (写真拡大 4 三国峠を間近にした地点 (写真拡大
   後方に建設中の橋梁が見える。
 
いよいよ峠が間近に迫ってきたところで、新道である橋梁建設現場が姿を現した(写真4)。現道が谷を大きく回りこむ箇所を直線的に短絡する橋梁である。現道の車線幅は決して狭い訳ではないのだが、走行快適性も考慮しての橋梁建設であろう。

そしてダートを走ること約30分、16:00に遂に三国峠に到着。峠は改良工事であろうか、雑然とした雰囲気だったが(写真5)、今走ってきた上士幌町方面の展望は見事で、砂ぼこりを我慢してのダート走行が報われるようであった(概要欄写真)。

道路脇には上士幌営林署が立てた「三国峠」の木製看板があり、通りかかったおっちゃんに看板をバックに記念写真を撮ってもらった。
 

5 三国峠(上士幌町側) (写真拡大 6 三国トンネルの上川町側坑口 (写真拡大
 
10分間の休憩の後、峠を出発。すぐに三国トンネルに吸い込まれる。トンネル内はコンクリート舗装となり、上士幌町側のダート距離は7.6kmであった。

長さ1152mのトンネルを抜けると、路面は再びダートに(写真6)。この先、上川町側のダート距離は2.3kmで、上士幌町側と合わせた総ダート距離は9.9kmであった。
 

◆付記

 
2005年9月に国道273号を再訪し、ここに掲載している写真の一部について定点撮影を行いました。その写真を「国道定点撮影」の国道273号にまとめましたので、どうぞご覧下さい。
 


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