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◆概要 |
この国道に興味を持ったのは、1990年、当時まだ一般の目に触れることが少なかった「道路時刻表」を買ったのがきっかけであった。その道路時刻表には、国道174号の欄に「距離0.2km、所要時間1分」という記載があり、距離200mの国道とは一体どのようなものなのか、ぜひ自分の目で確かめたいと思ったのである。ところが、正確な位置を確認しようと本屋に行き、当時一般的だった縮尺10万分の1の道路地図を何冊かめくってはみたものの、どの道路地図にも国道174号は出ていない。それもそのはず、200mといえば縮尺10万分の1では僅か2mmになってしまい、道路地図上では無視されてしまうのである。そこで頼みの綱となるのが国土地理院発行の地形図である。地形図上では、国道は茶色の網がかけられ、国道番号が記されるきまりである。そしてようやく、2万5千分の1地形図「神戸首部」で国道174号の存在が確認できたのだが、その長さは約4mm、実距離に直すと約100mというものであった。 ここで1つ断らなければいけないのだが、実はこの地形図の記載にも誤りがあった。地形図では、国道174号は国道2号税関前交差点から分岐し、1つ南側の交差点までとなっていたのだが、実際はさらに数十m南側までが国道174号なのである。地形図上での実距離100mが、道路時刻表のデータ0.2kmと食い違っていたのもこのためである。しかし、当時は地形図の記載に誤りがあるとは夢にも思わず、1991年1月の現地訪問も地形図に基づいて行った。従って、ここで紹介する踏破記録は、南側数十mについては取材対象から外れているという点をご了承いただきたい。 |
◆踏破記 |
そのフラワーロードを港の方へ10分ほど歩くと、国道2号との交差点(税関前交差点)に出た。この交差点を直進し、次の交差点までの道路こそが、目指す国道174号のはずである。 しかし、その道路に目をやって、思わず絶句してしまった。というのは、あまりにも道路が暗いのである。 手前に阪神高速の高架、次に国道2号浜手バイパスの高架、さらにポートアイランド方面から浜手バイパスに合流する高架と、実に3つの道路が次々に国道174号の上に覆いかぶさっているのである。 暗い高架下を歩いてみたところ、次の交差点まで約50秒で完歩。地形図上通り、実際に100m程度しかないようだった。 一通り写真撮影を終えて、次は国道を証明する証拠探しである。上下線ともに国道標識はなく、さらに、国道174号と接続する道路の全ての案内標識を調べてみたが、残念ながら国道174号の記述は一切なかった。これでは、地元の人と言えども、その存在には気付かないだろう。 国道174号の現状は、国道かどうかも分からない普通の道路、いや、暗さを考えれば普通以下の道路であった。 周辺にポートアイランドやメリケン波止場などの観光地を抱えているにもかかわらず、国道339号の「階段国道」のように、「日本一短い国道」として観光名所になる日は、まず来ないような気がした。 |
◆付記 |
なお、写真3は、1991年1月に歩いた区間のさらに南側で国道2号方向を向いて撮影したもので、国道2号からこの付近までが実際の国道174号であると思われる。 (1991年1月に撮影した写真については2003年1月に定点撮影を行いました。その写真を「国道定点撮影」の国道174号にまとめましたので、どうぞご覧下さい。) |
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