保戸島 大分県道612号(2)
ホーム離島都道府県道探訪
◆概要
●路線名:長目中ノ島線
●島名:保戸島(ほとじま)
●所在地:大分県津久見市
●撮影日:2007年4月30日
◆写真紹介
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保戸島南端から大分県道612号(1)の写真[16]の保戸島中学校付近まで戻ると、今度は先ほど歩いた海沿いルートとは別の山側ルートで北上することにした。その山側ルートというのがこの路地。見てのとおり四輪車の通行はできない。海沿いにはなかった古い木造住宅も残り、昔ながらの風情を感じる。
 
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少し進むと道幅はさらに狭くなり、人同士のすれ違いがやっとという場所も。右側からは山の斜面が張り出し、その奥の赤い住宅などはそれを避けるように複雑怪奇な形をしている。
 
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狭い路地に横たわる猫。人や自転車が誤って踏んでしまいそうだが、猫にとっては居心地がいい場所なのだろうか。
 
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さらに路地を進むうちに現れたのが保戸島郵便局。路地に面した郵便局というのは今まで見た記憶がない。まあ、島までの輸送は船運であるし、島内配達も歩きあるいは自転車で事足りるので何ら問題はないのだろう。
 
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保戸島郵便局を振り返って撮影。
 
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そして保戸島中学校からゆっくり歩くこと約20分で高速船乗り場にほど近い集落の中心部へ帰還。さすがに中心部らしく路地に面しながらも商店が建ち並んでいる。写真は衣料品店。
 
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さて、県道612号の起点側に戻ってきたということで、念のため再度、路地部分も含めて周辺の路面に注意しながら歩いていると、道路端に何やら怪しげな鋲が。場所は大分県道612号(1)の写真[5]の付近で、この写真では左下に写っている。
 
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これが怪しげな鋲。位置的には県道の島の起点になっていてもいい場所なのだが、大分県道612号(1)の写真[17]のように「基準点」の文字を読み取ることができず、また、形状も微妙に違い、恐らく県道とは無関係であろう。
 
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以降、さらに少しの間、集落の中心部を散策。中心部にもかかわらず、木造住宅がひしめく一角も。
 
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こちらはかなり年季の入った木造住宅の2階部分を見上げた写真。
 
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一通り集落の中心部を歩いた後、次はいよいよ山側の急傾斜地に歩を向ける。山側へ向かう道も当然のように路地のみ。写真は海側を振り向いて撮影した「たばこ屋」。狭い路地だけあって、自動販売機がちゃんとセットバックして設置されている。
 
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最初は比較的登り勾配が緩やかだった路地も、ある地点を境に階段の連続区間へと変貌する。前方を見上げると、まるで住宅群がこちらに向かって覆い被さってくるようだ。
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擁壁に昔ながらの石垣を残すエリア。つらい階段を登りながらも、一瞬ホッとできる空間である。
 
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階段を登ること数分で一気に高度が上がり視界が開けてくる。それにしても、この立体的で一切の無駄を排除した高度な土地利用には本当に驚嘆させられる。
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しかし、高度を増すとともに明らかに住宅を取り壊した跡と分かる更地も目立つようになった。写真の住宅は3畳程度のコンクリート躯体を残して更地になっていた。
 
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そのコンクリート躯体の内部を覗くと浴室だった。あるいは既存の木造住宅に、屋上ベランダを兼ねた鉄筋コンクリートの浴室を後付けで建てたのかもしれない。
 
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さらに集落の最上部では朽ちた木造住宅が連なる光景も。港に面した立派な鉄筋コンクリート住宅とは実に対照的であるが、これはやはり過疎化の一端を示しているのだろうか。
 
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集落の上方には島の北部から立ち上がってきた車道が通じており、集落内路地から抜け出すことができたので、集落全体の展望も兼ねて車道を少し歩いてみた。写真は集落の最上部の様子。すさまじい急傾斜地に家々が建っていることが分かる。
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同じく車道からの集落中心部〜島の南端方面の眺め。写真右下付近に高速船乗り場があり、集落の海側に沿って県道612号が延びていると考えられる。また、写真上部やや左側付近に独立して見える緑の部分が中ノ島で、その右側に連なる山々は本土である。
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車道からの展望を終え、登ってきたルートとは別ルートで集落内を中心部に向けて下りることにした。この写真にも住宅数軒分の更地が見えるが、やはり一部にコンクリート躯体が残されていた。
 
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この上部が赤く塗られたコンクリート躯体、何かと思えばどうやら五右衛門風呂だったようだ。一体、いつ頃まで現役だったのだろうか。
 
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さて、気付けば時間はすでに12:45で、乗船予定の高速船出港まであと15分となってしまった。もともと昼食の準備はなく本土に戻ってから食べるつもりだったが、もし島内で食事ができるのであれば、高速船を1本遅らせ、もう少し島の滞在時間を延ばしたい。
そこで、集落の中心部に戻り改めて探索したところ、うまい具合に仕出し弁当屋さんを発見。すでに既製の弁当は売り切れていたが、新鮮な魚とご飯はあるということで、オーダー弁当として特別に「刺身弁当」を作ってもらうことに。
 
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弁当を待つ間、店のおばちゃんの話を聞くと、保戸島の景気もやはりバブルの頃がピークで、現在は以前ほどの活気はないとのこと。集落の最上部で見た光景が物語るように、この島の将来も決して安泰とは言えないのかもしれない。
件の刺身弁当は集落北側の斜面中腹に建つ神社の境内で食べることにした。新鮮な刺身は正に絶品で、あまりの美味しさに夢中で平らげてしまった。高速船を1本遅らせて大正解である。
写真は神社付近から眺めた保戸島集落。
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そして14:30の高速船の出港が迫り、いよいよ島を去る時がやってきた。県道探訪という点では明確な物証を発見できなかったものの、独特の景観を始めとして保戸島の魅力に十分触れることができたし、島訪問のきっかけとなった県道612号の存在に感謝せねばならない。

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