ホーム>昔日の国道風景> |
◆概要 |
そしてもう1ヶ所、最後の未通区間として残ったのが、兵庫県香美町(旧・美方町)〜鳥取県若桜町の区間である。この区間は、国道としては未通であるものの、国道が途切れている香美町秋岡付近〜兵庫・鳥取県境付近の間を香美町道(桑ヶ仙林道)が連絡しており、冬期、災害時を除き、車両の通り抜けは可能となっている。ここで紹介するのは、1996年9月に、当時の美方町側から町道を介して若桜町側に抜けたときの走行記録である。現在は町道を含め全面舗装が完了しているが、当時はダートが残っており、かなりの悪路に苦労を強いられた。 |
◆走行記 |
国道9号からしばらくは2車線道が続いたが、美方町の中心部に差し掛かると1.5車線区間が多くなってきた。美方町の中心部では「温泉保養館おじろん」をのぞいてみるが、入浴料が800円の上、露天風呂は水着着用とのことなのでやめておく。 美方町秋岡で県道が分岐すると、482号はいよいよ山間部に入って行く。道幅はさらに狭くなり、渓谷沿いの1車線区間が主体となる。 そして、そんな狭路を3〜4km進んだところで、熱田集落への分岐点に出た。案内板によると、この先鳥取県境に向かう道路には「町道岩小屋線」という表記があり、どうやらこの付近で国道482号が途切れているようだ(写真1)。それはともかく、案内板には、「これより先、幅員狭小」、「落石のおそれあり」、「悪路のため車両通行困難」という注意書きがあり、「一般車はここで引き返せ」という雰囲気である。しかし、3年前はこの先まで車で入っており、おいそれと引き返すわけにはいかない。 熱田分岐から1km強進んだところで、見覚えのある地点に出た。そう、3年前に路肩崩壊のため通行止だったところである。現在はすっかり修復されている上に、3年前はこの地点ですでにダートだったのが、きれいに舗装されている。以前、通行止で退却を余儀なくされた地点をあっさりクリアーするのはなかなかいい気分である。 しかし、気分良く走れたのも束の間であった。さらに1km進んだ地点で舗装が途切れ、遂にダートが出現したのである(写真2)。ちょうど「小代渓谷」の看板が立っている地点である。この道路はあくまで町道であり、先ほどの案内板の注意書きにあるとおり整備が行き届いているとは限らず、この先は慎重に進まねばならない。 |
1 熱田集落への分岐点にある案内板 (写真拡大) | 2 ダート開始地点 (写真拡大) |
しばらく進むと渓谷沿いの区間は終了し、転落の不安は解消されたが、今度は肝心の路面が怪しくなってきた。雨水によって刻まれた深い溝あり、ごつごつした大きな石が路面に露出したりと、典型的な悪路の様相を呈してきたのである(写真4)。今乗っているセダンは車高が低く、腹を擦らないように慎重に最徐行で進むしかない。やはり案内板の注意書きは単なる脅しではなかったとつくづく思う。 |
3 ダート開始後間もない地点 (写真拡大) |
4 大きな石が路面に露出した悪路区間 (写真拡大) |
そして、峠に立っていたのが、写真6の案内板。これは、鳥取県側から来る車両に向けられたもので、先ほど熱田分岐に立っていたものと同様の内容なのだが、注目したいのが「一般国道482号は県境まで」の文言。もしこれが本当なら、鳥取県側に続いているダートはダート国道ということになるのだが、真相やいかに。 |
5 兵庫・鳥取県境の峠 (写真拡大) | 6 峠に立っている案内板 (写真拡大) |
峠から0.6km走ったところで遂にダート区間も終了。あとは舗装された国道482号を下るだけなので、3年ぶりの県境越え再挑戦は無事に成功と言っていいだろう。 舗装路をさらに少し下ったところにある氷ノ山キャンプ場の入口に、若桜市街方を向いた案内標識が立っていたが、県境方面の道路にはちゃんと国道482号の表記があった(写真8)。その標識内では、やはり「県境より先、普通車以上通行困難」という表記になっていたが、「通行困難」の部分は実はシールになっていて、その下に「通行不可能」の文字がうっすら見えた。「通行不可能」というのは、3年前の路肩崩壊当時のものであろうか。いずれにせよ、道路管理者としては「通行不可能」にして通行車両をなるべくシャットアウトする方が管理上都合がいいように思えるが、それをあえて「通行困難」に修正するというのは、なかなかきめ細かな対応と言えよう。 |
7 鳥取県若桜町側のダート区間 (写真拡大) | 8 氷ノ山キャンプ場入口の案内標識 (写真拡大) |
ホーム>昔日の国道風景> |