国道388号 門川町〜椎葉村
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◆概要
桜並木の国道388号を行く
  

 
国道388号は、大分県佐伯市と熊本県湯前町を結ぶ延長約230kmの国道である。前半の大分県佐伯市〜宮崎県延岡市の間はリアス式海岸に沿うルート、後半の延岡市〜熊本県湯前町の間は九州山地を横断する山深いルートである。

実は後半の延岡市〜湯前町間約150kmは、1993年4月1日の国道追加指定時に延伸された区間で、それまでの国道388号は前半の佐伯市〜延岡市のみであった。1993年施行の国道追加指定といえば国道450号〜507号という新たな国道番号が生まれているが、この国道388号のように既存番号の国道の延伸という形で国道に昇格するケースも少なからず存在した。ただ、国道388号の場合、純粋に県道から国道に昇格したのは宮崎県門川町〜南郷村(現・美郷町)間の約60kmだけで、残りの延岡市〜門川町間はもともと国道10号、南郷村(現・美郷町)〜湯前町間はもともと国道446号という具合に、いたずらに既存国道との重用区間を増やしただけという感も否めない。逆に、国道446号(宮崎県日向市〜熊本県湯前町間約100km)の立場から見れば、南郷村(現・美郷町)〜湯前町に国道388号がかぶさってきたお陰で、446号の単独区間は南郷村(現・美郷町)〜東郷町(現・日向市)間の僅か約25kmになってしまった。

さて、ここで紹介するのは、延岡市〜湯前町間が延伸されてまだ日も浅い1993年4月16日に、延伸区間である門川町の国道10号交点〜椎葉村の国道265号交点間を走ったときの走行記である。まだ国道388号になりきれていない実態を随所に見ることができたドライブであった。
  

◆走行記


1993年4月16日、レンタカーによる大分市発着のドライブは2日目である。12:30、宮崎県門川町で、国道10号から国道388号に入った。

すると、門川町の中心部でいきなり工事予告看板が目に飛び込んできた。それによると、門川町内の388号で時間通行規制の工事があり、今からだと13:05以降通行止めになるとのこと。あと、30分である。工事現場までの所要時間が今いちつかめないので、とにかくさっき買ったばかりのホッカ弁をお預けにして、工事現場まで飛ばすことにした。

国道は町の中心部を外れると次第に山間部に入っていき、笠原付近からはそれまでの2車線が1.5車線となった。2週間ほど前に県道から国道に昇格したばかりの区間であるが、ちゃんと真新しい国道標識が立っている。

必死で走ること約30分、遂にタイムリミットの13:05となったが、実は既に北郷村界に近い松瀬付近まで来ており、いつのまにか工事現場を通り過ぎていることにようやく気付いた。そういえば途中に工事ダートらしき区間があったのだが、急いでいたせいで、そこが現場だとは気付かなかったようだ。何はともあれ無事に通過できて良かった。

もう急ぐ必要がなくなったので、北郷村に入ってすぐのトド呂付近で真新しい国道標識を写真撮影(写真1)。次いで、道路が少し広くなったところで停車し、お預けになっていた弁当で昼食タイムとする。

30分くらい休憩の後、13:40に国道走行を再開。黒木付近では、橋の欄干に「祝 国道昇格388号 平成5年4月1日」の垂れ幕が下がっていた(写真2)。ここ北郷村内にはもともと国道がなく、今回の388号昇格によって初めて国道が通ったわけで、その喜びの表われであろう。
 

1 北郷村トド呂付近の国道標識 (写真拡大 2 「祝 国道昇格388号」の垂れ幕 (写真拡大


黒木から少し走った舟方付近では、国道沿いがちょっとした渓谷になっていて、「土々呂峡」という名前が付いている。季節柄お決まりの鯉のぼりも渓谷上にぶら下がっているが、観光客らしき姿は見られない。

国道のほうは、下ノ原付近から2車線となるが、北郷村の中心部、中原を過ぎると再び1.5車線主体に。また、国道10号交点から黒木付近まで比較的頻繁に立てられていた国道標識は、黒木付近からはほとんど見られなくなった。どうやら整備が追いついていないようだ。

西郷村中心部で2車線の国道327号と離合するが、昇格したばかりの388号から見ると、327号とはいえ格の違いを感じるから不思議である。327号も、ここからさらに奥地の椎葉村あたりまで行くとかなり怪しくなるのだが。

327号交点からは1.5車線主体で峠を越え、南郷村へ。そしてほどなく国道446号交点のT字路に到達した。右折方向が国道388号湯前方面で、もともと国道446号だったところを388号が乗っ取った区間、左折方向は国道446号日向方面である。交差点の手前の案内標識を見ると、左折の日向方面には446号の国道番号が入っているのに、右折の神門(湯前)方面には番号が入っていない(写真3)。神門方面には、もともと446号の番号が入っていたと思われるのだが、もしそうであれば、なぜ番号を一旦消すという中途半端な状態になっているのだろうか。どうせなら、たとえ388号昇格とのタイムラグがあっても、446号から388号へ一気に書き換えればいいのにと思うのだが。ちなみに、T字路を右折してすぐの案内標識を振り返ると、西郷方面(今走ってきた道)は県道22号(国道388号に昇格する前の県道番号)のままになっていた(写真4)。
 

3 国道446号交点手前の案内標識
  (写真拡大
4 国道446号交点を右折してすぐの案内標識
  (写真拡大


446号との重用区間となって約10分走ると、南郷村の中心部、神門へ。今日はここからさらに椎葉村の中心部まで走り、宿泊する予定であるが、実はそこに至るまでに国道388号大河内越、国道265号飯干峠という2つの険しい峠が控えている。時間は既に15:30を過ぎており、宿の予約はここで済ませておいたほうが無難である。というわけで公衆電話から民宿へ電話をかけ、何軒目かでようやく宿泊OKが出た。

神門では県道交差点と集落外れの388号左折ポイントの2ヵ所に案内標識があったが、いずれも国道番号が446号表記のままだった(写真5)。しかし、先ほどの446号交点以来、388号の国道標識が復活しており、案内標識は446号、国道標識は388号、といった具合に整合性がない。
 

5 神門集落外れの左折ポイントの案内標識
  446号の表記。 (写真拡大
6 椎葉村栂尾付近の国道標識
  (写真拡大


さて、神門から少し走った鬼神野付近からは1車線主体の狭路となり、いよいよ大河内越の始まりである。狭路になって早々に南郷村から椎葉村へ入るが、峠はまだまだ先。大河内越、さらにはその先の国道265号飯干峠も、ほとんど丸々椎葉村の村域なのである。今日の宿泊地である椎葉村の中心部まで、一体何時間、村内を走ることになるのだろうか。

結局、椎葉村に入って狭路を走ること約40分でようやく大河内越へ。これだけ走ってまだここか、という感じである。峠は霧が立ち込める深い山中。かなり疲労がたまっているが、ゆっくり休む気にもならない。

5分休んだだけで、峠道を下り始める。すると、突然446号の国道標識が出現した(写真7)。南郷村の446号交点以来、国道標識だけは一貫して388号だったのだが、遂にそれも尽きたようである。その後、国道標識はすべて446号のままだった。やはり、これだけ距離が長いと、新しい国道標識に一気に取り替えるというのはなかなか難しいのだろう。ただ、事情を知らない人にとっては「峠道を走っていたら途中でいきなり国道番号が変わった」となるわけで、混乱することはないのだろうか。

17:30、峠から約25分で国道265号交点のT字路に到着。388号はここで右折となり、この先少しの間は265号との重用区間である。手前の案内標識の右折方面には、ご丁寧に265号と446号の2つの国道番号が入っているのだが、やはり388号の番号はなかった(写真8)。

なお、宿泊地である椎葉村中心部には、結局19:30に到着。途中、若干の休憩があったものの、椎葉村に入ってから村内を3時間余り走ってようやくたどり着いたことになる。
 

7 大河内越を過ぎて出現した446号の国道標識
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8 国道265号交点手前の案内標識
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