東京都道228号
ホーム離島都道府県道探訪
◆概要
●路線名:利島環状線
●島名:利島(としま)
●所在地:東京都利島村
●撮影日:2010年11月24日
◆写真紹介
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前夜22:00、東京の竹芝港を出港した東海汽船の神津島行「かめりあ丸」は、早朝に大島に寄港した後、その南側に位置する利島に向かって航行していた。しかし、前夜の出港時点で、利島、式根島については「条件付出航」、すなわち、現地の天候状況によって接岸できない場合は欠航扱いという条件での出航だった。しかも、大島出港後に式根島については「条件付」が解除されたのに、利島は継続したまま。本来の離島訪問であれば、島影が近づくにつれ期待が高まるものだが、今回のように直前まで下船の可否が確定していないという不安な状況は初めてである。
 
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7:40、高波に船体を大きく揺らしながらも、何とか利島港に接岸。今回の旅は利島訪問が目的であり、東京から10時間弱かけた長い船旅が無駄になるという最悪の事態だけは免れた。
なるほど、利島港の乗船場兼防波堤は海に向かってストレートに1本延びているだけなので、波浪に弱いのも納得。防波堤の先端付近は時折、高波に洗われており、下船後は速やかに乗船場から離れるように係員から指示される。
 
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利島は大島の南約20kmに位置する周囲約8km、人口約300人の島で、[1]の写真からも分かるとおり、標高508mの宮塚山を頂点とした斜面は海岸付近で急傾斜となって落ち込んでおり、平地はほとんどない。降り立った利島港および村の中心は島の北側に位置している。
写真は乗船場付近からの眺めで、黄色い建物が乗船待合所、背後の山が宮塚山である。
 
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待合所内で島歩きの態勢を整えた後、8:00に港を出発。港から延びる道路は1本の1.5車線路のみで、早速、海岸付近の急傾斜を上り始める。
写真は港から2〜3分歩いた初めての三叉路。道路地図では、ここに都道228号の起点があるようにも見え、周囲を注意深く見まわす。
 
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すると、嬉しいことに道路脇にゼロキロポストを発見。根元付近には「第228号」としっかり都道番号も記載されている。キロポストはこの後、0.1km毎に設置されており、都道歩きの心強い味方となった。
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都道を歩き始めてすぐのところにあった電話ボックス内の公衆電話。電話機本体が潮風の影響からか腐食が始まっているほか、ボックス内には雑草も侵入。そして極めつけは、ボックスの扉自体が開かず中に入れなかった。携帯電話の普及で公衆電話の利用が激減したとはいえ、この荒廃ぶりにしばし絶句。
 
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都道に入っても1.5車線路でなおも上りが続く。フェリー到着後間もないということもあるが、意外に行きかう車は多い。島の車のナンバーは「品川」。伊豆諸島、小笠原諸島の車のナンバーが品川であることは予備知識としてあったが、実際に目のあたりにするとやはり違和感がある。
 
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0.2キロポスト付近で都道はヘアピンカーブを描いて180°の方向転換。道路構造的にはロータリーを形成しているが、パイロンで仕切られ、周回できないようになっている。
 
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0.5キロポスト付近からは、利島集落の民家とともに椿林も出現。実は、利島は椿油生産量日本一の島で、島内の至るところに椿林が分布し、その数20万本以上という。
 
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残念ながら椿の花の見頃は1〜3月とのことで、まだ少し時期が早いが、すでに花を付ける木もちらほら。
 
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都道自体は利島集落の中心部を迂回しているようで、沿道の民家はさほど多くない。そんな中、大島警察署の利島村駐在所の建物が出現。小柄なパトカーの側面には「警視庁」の文字。ここは紛れもない東京都なのである。
 
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駐在所の先には利島村役場も。そのほか、隣接して郷土資料館や教職員住宅があり、官公庁関連の施設が集結している。
 
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利島村役場の少し先の三叉路で、「東まわり」、「西まわり」と書かれた案内板が出現。どうやらここが島の環状道路の起終点になっているようだ。道路地図でも、都道228号は利島港から一定の距離を南下した先で島の環状道路を構成しており、この三叉路で都道の環状区間が始まると考えて間違いないだろう。
 
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その裏付けはいとも簡単に発見できた。三叉路に面して2本のキロポストが近接して設置されており、写真左側のキロポストには「9.199」、右側には「1.4」の数字。ここまでのキロポストが0.1km刻みであったことから、左側の半端な数字のキロポストが都道228号の終点(数字は都道の延長)を示していると考えられる。
 
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これが「9.199」キロポスト。このキロポストのみ、なぜか「第228号」が手書きとなっている。
当初は環状道路を右回り(東回り)に進む予定だったが、上記「1.4」キロポストの位置から都道228号の「順路」は左回り(西回り)のようなので、ここは素直に順路に従うことにする。
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三叉路の先、海側には利島小中学校があった。海を見渡す高台の校舎に全面芝生の運動場と羨ましい環境だが、都道から教室内の様子を窺ったところ、ほとんど教師と生徒のマンツーマンに近い状態のようだ。
 
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この付近で都道は利島集落の南端をかすめており、集落内に下る狭路が何本か都道から分岐していた。
 
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集落の外れで、本土でも珍しい警戒標識の三連標識を発見。一番上の「15%上り勾配」は実情と合っていない気もするが・・・。写真は利島港方面を振り返って撮影。
 
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さらに歩を進めると、沿道に民家はなくなり、一面の椿林が続くようになる。都道は一貫して上り勾配が続き、冷たい北風が吹き付けるにもかかわらず体中に汗がにじむ。
 
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上り勾配が続く見返りとして次第に都道からの眺望が広がるようになる。写真は振り返って北側の海上に浮かぶ大島を撮影。
 
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4.8キロポスト付近で、都道から「南ヶ山園地」に通じる道路が分岐していた。南ヶ山園地はその名のとおり島の南部に整備された公園である。利島港を出発して1時間30分以上が経過しており、休憩がてら園地に寄り道することにする。
 
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南ヶ山園地では、利島の南側に連なる新島や神津島の眺望を楽しむ。シーズンオフの平日とあって周囲に全く人影はない。日だまりのベンチに腰を下ろし、持参のおにぎりで軽めの食料補給。
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10:20に再び都道に復帰。すると、道路脇に大島支庁土木課設置の写真のような標識が立っていた。内容から察するに道路管理・整備のための目印のようなものだろう。なお、標識内で黒線で描かれている都道ルートを見ると、どうやら北側の海岸付近に枝線が存在しているようだが、枝線は探訪対象外としておく。
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5.2キロポストを過ぎた辺りで舗装工事現場が出現。同時にこれまでほぼ上り一辺倒できた都道228号もようやくピークを迎える。標高は300mを超えており、海岸よりも標高508mの宮塚山の山頂のほうが近い。
  
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島の南側から東側に回り込んだ都道からは、前方に大島を眺めるようになる。下り勾配となり足取りも軽い。
  
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さらに進むと、突如、行く手の視界が開けた。ちょうど都道が連続ヘアピンカーブで急激に高度を下げ始める地点に当たり、今回の都道探訪のハイライトと言ってもいいだろう。
  
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写真[26]のさらに前方からの眺め。都道がまるで海に突っ込むかのように急カーブを描きながら下っていく。この付近は「ウスイゴウ園地」として整備されているエリアで、写真の池は人工池であるが、海との対比が面白い。
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ウスイゴウ園地の展望休憩所。斜面に張り出した休憩所からはほぼ180°の視界で眼前に大海原が展開する。
  
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展望休憩所から大島方向の眺望。直下で都道228号がヘアピンカーブを切っている。
  
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ウスイゴウ園地からの連続カーブで標高を下げると、都道は再び椿林の中へ。 
  
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そして、11:20、遂に写真[13]の三叉路に到達し、利島の環状道路による一周が達成されるとともに、約9.2kmにわたる都道228号の探訪も一段落。
今朝は島に降り立つことも危ぶまれる状況だったが、蓋を開けてみれば比較的天候にも恵まれ、十分に利島の素晴らしい自然環境に触れることができた。 
  
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フェリーの出港までには少し余裕があるので、 都道を外れて利島集落内をゆっくり散策する。傾斜地に形成された集落には民家が密集していて、狭い道路や路地が民家の間を縫うように走っているのみ。やはり、都道228号は集落のバイパス的な役割も担っているようだ。
  
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何軒かの民家の軒先には、椿油の原料となる椿の種が干されていた。
  
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港にほど近い「艀(はしけ)と海の歴史広場」。写真右手の建屋内には、過去の艀を使用した時代の乗船風景写真や利島の時系列の航空写真が展示されていて興味深い。展示によると、利島港が整備されてフェリーの接岸が可能となったのは昭和50年代半ばになってからで、それまでは艀に頼らざるを得なかったというから驚く。
 
  
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乗船待合所に戻り、大島までの乗船券を買って待っていると、神津島で折り返してきた「かめりあ丸」が朝と同じように大きく船体を揺らしながら港に入ってきた。どうやら無事に島を発つことができるようだ。なお、乗船券発売および乗船手続きは出港時刻の30分前に締め切られるので注意が必要である。
  
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東京行「かめりあ丸」は数人の乗船客を乗せた後、定刻より10分遅れの13:00に利島港を出港した。デッキに出てみると、洋上にはシルエットとなった円錐形の利島が浮かんでいた。 

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