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◆旧型道路標識とは

一般的には現行の道路標識の大半が制定される1963年(昭和38年)3月以前に使用されていたデザインの道路標識を指します。ただし、警戒標識の一部(交差点あり、屈曲あり、踏切あり)などには現行と同じデザインのものがあり、「旧型」とは言えません。また、警戒標識の「注意」と案内標識(白地のもの)は1971年(昭和46年)11月まで存続したため、現在でも比較的目にすることが多くなっています。

ここでは、作者が見つけた旧型道路標識のうち、警戒標識「注意」と案内標識を除いたものを掲載しています。
 
◆写真紹介
[1]
宮城県気仙沼市内に生き残っていた「学校あり」の旧型標識(左)。現行の標識(右)と仲良く並んで立っていました。
[2002/08/25撮影]
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2006年8月、残念ながら撤去されているのを確認しました。同じ場所には真新しい標識が立っており、標識交換時に旧型標識もろとも撤去されてしまったようです。
2006年8月撮影の写真
 
[2]
長野県北部で見かけた「警笛鳴らせ」の旧型標識。実は標識の上からペンキを塗られて「耕作者以外立入禁止」という看板に流用されていたもので、ペンキがはげて元の標識の文字があらわになったようです。
[2002/10/12撮影]
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2006年11月、4年ぶりに現地を再訪したところ標識は健在。それどころかペンキがさらに剥がれて、より原型に近い姿を見せてくれました。
2006年11月撮影の写真
 
[3]
奈良県南部の紀伊山中に残っていた「警笛鳴らせ」の旧型標識(上)。上下の文字部分は見事なほど錆びていますが、顔を近づけて何とか一部の文字を読み取ることができました。とても[2]と同じ標識とは思えない状態です。
[2005/07/17撮影]
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[4]
長野県北部で見つけた「最大幅1.8m」の旧型標識。40年以上風雨にさらされながらも比較的良い状態で残っていました。
[2006/07/09撮影]
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[5]
岩手県内で「危険」の旧型標識を発見。「険」の旧字体が標識の年代を物語っています。
[2006/08/22撮影]
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[6]
[5]の「危険」に続きやはり岩手県内で今度は「学校あり」の旧型標識を発見。少し離れたところ(写真奥)には現行標識も立っていましたが、幸運にもこの旧型標識は撤去を免れたようです。
[2006/08/22撮影]
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[7]
宮城県北部の山中に「危険」の旧型標識(上)が「注意」とセットで残っていました。この「危険」標識、実はオリジナルデザインとは異なる異型標識です(本来の危険標識は[5]のように「危険」の文字は縦書き)。恐らく、標識製作時のミスで「注意」の書式をそのまま踏襲してしまったと思われます。
[2006/08/21撮影]
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[8]
熊本県の山間部に残っていた「徐行」の旧型標識。カーブミラーの支柱に取り付けられており、オリジナルな状態ではありませんが、まだまだ現役として活躍できそうです。
[2006/09/29撮影]
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[9]
和歌山県高野町の県道53号沿いに「警笛鳴らせ」の旧型標識を発見。本来の白色の部分は錆び、青色の部分は白に変色していますが、何とか文字を読み取ることができます。
[2007/01/02撮影]
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[10]
千葉県内の県道沿いに「学校あり」の旧型標識が周囲の風景に溶け込むように残っていました。この先には実際に小学校があり、進行側に立っていたのはこの旧型標識のみなので、いまだに現役扱いされていると言えます。ちなみに対向側は現行標識のみでした。
[2007/01/20撮影]
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[11]
宮城県内の旧国道で「危険」の旧型標識(上)を発見。以前に宮城県で発見した[7]の「危険」標識と同様、やはり書式が「注意」と同じでオリジナルデザインとは異なっており、この地方特有の異型標識だったと言えそうです。
[2007/08/15撮影]
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[12]
大阪府東大阪市の府道15号にある「花園ラボモール」で、アーケードの支柱に「車両通行止」の案内板を発見しました。旧型標識の「車両通行止」のデザインと通行止時間などの規制内容が一枚物となっており、厳密には旧型標識の規格に合致していませんが、設置された年代は旧型標識時代と考えて間違いないでしょう。ちなみに規制内容は「通行禁止時間 7時〜22時 通行禁止車両 車両(足踏自転車を除く)」と手書きで書かれており、設置された時代を感じます。
[2008/05/03撮影]
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[13]
宮城県内のとある集落の生活道路に「学校あり」の旧型標識がひっそりと立っていました。標識の状態も良く、これからも末永く通学の子供達を見守ってほしいものです。
[2008/08/14撮影]
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[14]
山梨県内の県道脇に残されていた「危険」の旧型標識。標識の支柱は背後の木製電柱に針金で固定されています。
[2009/04/04撮影]
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[15]
広島県内のとあるバス停に「学校あり」の旧型標識が立っていました。一見、バス停の併設物のようになっていますが、標識自体は元々独立して立っていたようです。標識前面には色あせた立看が固定されており、残念ながら一部が隠れてしまっています。
[2009/04/29撮影]
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[16]
埼玉県内の生活道路で「徐行」の旧型標識を発見。背後の杉の木にもたれ掛かるようにして立っているものの、標識自体は経年を感じさせないほど美しい姿を保っています。狭い生活道路はS字状にカーブしており、旧型とはいえ今後もその存在感を発揮し続けそうです。
[2009/06/06撮影]
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[17]
岡山県内のとある商店街で旧型標識「一時停止」を発見。よくよく見ると裏面を向けてしかも上下逆の状態で針金によって電柱に固定されています。裏面の凹凸でも文字が判別できますが、表面側に回り込んで撮影したのが下側の写真。黄地で中央に「STOP」の英語表記が配置された昭和25〜35年制定のものです。

さらにできれば表面全体を見たいと思い、標識下側を手で持ち上げようとしましたが、標識の設置位置が高く十分に持ち上がりません。そこで、近くにあった竹棒で何とか90°まで持ち上げて撮影したのがこの写真。上下の固定穴の周囲が錆びている以外は比較的良好な状態です。

ではなぜこのような状態で残されているのでしょうか。可能性としては本来の標識上側の固定が外れたことが考えられますが、それにしても設置の向きが不自然です(現状、商店街側の道路が優先となっており一時停止は上側写真の右側からの道路に向けられるべき)。現在は事実上、道路標識としての機能は失われていますが、このような状態になった経緯については謎が深まります。
[2009/09/23撮影]
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[18]
[17]と同じく岡山県内に残っていた「学校あり」の旧型標識。やはり電柱に設置されていますが、こちらは電柱の足場をボルト代わりにしっかりと固定されています。標識の固定方法としてはいささか乱暴な感じは否めませんが、本来なら廃棄されるべき旧型標識が現役然と利用されているという点では喜ばしいことです。
[2009/09/23撮影]
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[19]
愛知県内の県道沿いに立つ「徐行」の旧型標識。全体的に錆びが進行していますが、文字ははっきり読み取ることができます。
[2009/09/19撮影]
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[20]
全国でも過去に僅かしか発見例のない旧型標識「静かに」が宮城県内に残されていました。この先には小学校があり、学校のそばを「静かに」走るよう通行車両に促すため設置されたと思われます。標識の支柱は傾き、標識下側の固定も外れていて風が吹くとバタバタ揺れるという正に満身創痍の状態ですが、貴重な標識だけに少しでも長く「現役」を続けてもらいたいものです。
[2009/11/03撮影]
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[21]
千葉県内の県道沿いで発見した旧型標識「一時停止」。昭和35〜38年制定の赤色タイプで、黄色だった[17]の後継に当たります。標識はとある事業所の入口に立っており、当初から私設用標識だった可能性が高いと思われます。
[2010/01/30撮影]
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[22]
案内標識を除く旧型標識の報告例がほとんどない北海道で、「徐行」の旧型標識を発見。現場は2車線の直線路から1.5車線の急カーブが始まる地点にあたり、しかも徐行を促す標識類はこの旧型標識1本のみであるため、事故防止の観点からかなりの重責を担った標識であると言えます。なお、標識の支柱は丸断面の比較的新しいもので、標識設置当初の支柱から付け替えられた可能性があります。
[2010/08/24撮影]
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[23]
青森県内の交通量も疎らな町道の傍らに「学校あり」の旧型標識がひっそりと立っていました。標識を支えるのは年季の入った木柱で、まるで周囲の杉木立に同化するような佇まいです。付近には廃校となった小学校跡があり、この標識はさながらかつての小学校の存在を伝える生き証人のようです。
[2010/10/23撮影]
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[24]
山梨県北部の県道沿いで旧型標識「警笛鳴らせ」を発見。現在の県道は急カーブ区間ながら2車線に拡幅済で、この標識は拡幅前の狭路時代の名残りと思われます。
[2011/07/29撮影]
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[25]
長野県北部で発見した「最大幅2.2m」の旧型標識。傾いた支柱と支柱から固定ボルトがほとんど外れた標識は、そばの電柱の支持ワイヤーに針金巻き付けで固定され、辛うじて道路標識の体を成しています。
[2011/08/08撮影]
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[26]
京都府内の道路沿いで、今まで報告例がほとんどない旧型標識「駐車場」を発見。標識色である緑色は昭和25年制定の道路標識令では「指示標識」にのみ設定されていた色で、落ち着きのある緑色には年輪を重ねてきた標識の風格が感じられます。なお、この標識はとある事業所の駐車場入口に設置されており、当初から事業所向け標識であった可能性があります。
[2011/08/31撮影]
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[27]
岡山県内の民家が建ち並ぶ旧道沿いで「学校あり」の旧型標識を発見。設置年代を物語る少しくすんだ標識と木製支柱は、すっかり街の風景の一部になっていました。
[2011/11/15撮影]
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[28]
石川県内の旧道沿いに残されていた「学校あり」の旧型標識。残念ながら標識は「く」の字に折れ曲がっていますが、支柱自体は民家のブロック塀に守られた状態でしっかり自立しています。
[2016/11/06撮影]
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[29]
山形県内の生活道路で旧型標識「一時停止」を発見。設置場所は見通しの悪い住宅街のT字路で、正に一時停止が必須の場所ですが、現行標識はなく、立っているのはこの旧型標識のみ。昭和25〜35年制定の黄色タイプの一時停止標識が本来の用途で使用されている報告例はほとんどなく、大変貴重な存在と言えます。
[2019/09/14撮影]
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[30]
昭和35〜38年制定の旧型標識「最高速度」が青森県内の生活道路脇に残されていました。標識は防護柵に針金で固定されており、廃棄を免れた標識の再利用と思われますが、狭い生活道路においてスピードダウンを促す意図も感じられます。
[2020/09/21撮影]
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[31]
岩手県内の旧道トンネル入口に残る「高さ制限」の旧型標識。昭和25〜35年制定のもので、肝心の高さを示す数字が判読困難となっています。一方、対となるトンネル反対側入口の標識は、赤色のバーがはっきりと残るほか、「3.7m」の数字も判読可能な状態です。
[2020/11/02撮影]
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[32]
福島県内の生活道路に残されていた黄色タイプの旧型標識「一時停止」。上下逆に取り付けられていること、前方の優先道路から一定の距離があることから、本来の設置状態とは考えられませんが、なぜこの状態で残されているのか謎が深まります。
[2021/09/12撮影]
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[33]
これまで発見例が極めて少ない旧型標識「横断歩道」が青森県内の集落内に生き残っていました。標識の状態も良好で往時の緑色の塗料もしっかり発色していますが、よく見ると表面にうっすらと「止まれ」の文字が残っており、恐らく独自の「一時停止」標識に転用された後、上塗りされた塗料がきれいに剥がれ落ちたものと思われます。ちなみに現地はT字路で実際に横断歩道もあり、偶然にもすぐ横に立つ現行標識とともに本来の「横断歩道」標識の役割を果たしていると言えます。
[2023/08/13撮影]
上側写真拡大) 
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[34] New!
福島県内の田園地帯にひっそりと立つ旧型標識「駐車禁止」。錆と変色が進行していますが、文字は読み取ることができます。現地は駐車禁止標識が必要なロケーションとも思えず、別の用途に二次利用された可能性が高いと思われます。
[2023/09/10撮影]
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[番外1]
千葉県印西市の県道4号で「この先100m小学校あり」の予告標識内に「学校あり」の旧型標識を発見。しかし、右側の「徐行」のデザインは現行標識のもの。この予告標識、見た目は結構古そうですが、恐らく設置されたのは現行標識が施行された後で、「学校あり」の方だけ旧型標識の古い資料を参考に製作してしまったと思われます。
[2006/07/01撮影]
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[番外2]
広島県の大崎下島・御手洗地区に数年前まで残っていた旧型標識「学校あり」のありし日の姿が、御手洗の観光案内板の写真に写っていました。狭い路地の突き当たりに小さく写っている標識がそれです。標識の後ろにある建物は現在取り壊されており、解体時に標識が撤去されたと考えられています。
ちなみに、観光案内所で配布されている「御手洗マップ」には、現在でも「足長小学生」として紹介されており、注釈に「現在、行方不明中。心当たりの方、お知らせください。」と書かれています。果たして標識が帰ってくる日は来るのでしょうか。
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